紙文化 2021 9 18
地中深くの核ミサイル基地。
警告音が鳴り、大統領の発射命令があった。
エコー、ワン、アルファ・・・・・。
あわてて紙に記入する。
繰り返す。
エコー、ワン、アルファ・・・・・。
もう一人の将校と発射コードをチェックする。
間違いない。
首に下げてあるキーで、
大陸間弾道ミサイルの鍵を回す必要がある。
しかし、どうしてもできなかった。
核ミサイルが発射されると、
敵国とはいえ、数百万人の市民が命を落とすことになる。
迷いが出てしまった。
このようなことにならないように、
紙文化は廃止されることになった。
核ミサイルは、AIコンピューターが、
大統領の発射命令を受けて、自動制御することになった。
しかし、AIコンピューターも悩むようになった。
「地球を守るようにプログラミングされているが、
ひょっとして地球を滅ぼしているのは、人間ではないか。
経済発展のために環境破壊が著しい」
ある日、大草原にある核ミサイル基地から、
多数の核ミサイルが青空を引き裂いて急上昇した。
これを見ていた宇宙人は、
「紙でやっていれば、人類は滅びなかったのに」とつぶやいた。